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スペシャルサポーター
2016年より、コシノジュンコさんが器の絆プロジェクトのスペシャルサポーターに就任。窯元とのコラボ活動を通じて「器」の魅力を発信する等、復興応援を行っています。いまもなお、復興応援にたずさわるコシノさんに、これまでの歩みを振り返りながら、これからの復興への思いを聞かせていただきました。
2011年に発生した東日本大震災は、各地に大きな爪痕を残しました。なかでも、地震はもとより、その後に起こった津波でも大きな被害を受けた東北地方に、私ができることってなんだろうとずっと考えていたのです。そんなときに声をかけてくださったのが、AGFさんでした。
東北のいくつもの窯元さんが被害に遭われてたいへん困っているという現状に対し、長い伝統に培われた文化をそのままなくしてはいけない、という強い思いが伝わってきました。私はもともとコーヒーが大好きで、コーヒーのない人生は考えられないほど。そのコーヒーを飲むためには、器が欠かせませんから、それなら私がデザインをし、各地の窯元さんに作っていただくことでAGFさんとともに、復興応援をしようということになりました。
私のすべてのデザインの根幹にあるものですが、丸は神様が作った自然界のもの。宇宙においては、地球であり、太陽であり、月でもあります。上も下も左右もない、完成された形。
それに対して、四角は人間の合理性と考えていて、丸とは対極に位置しますが、その両者を組み合わせることによって、二つでひとつとなり、調和し、そこからまったく新しい価値を創造する。そういったコンセプトのもとに、器には丸を、そして持ち手に四角を取り入れたデザインをし、窯元さんに制作をお願いしました。焼きあがったものを目にしたときは、その違いに驚きました。
まず、土が違う、そして焼き方が違う。そこに作り手の感性が加わることによって、実に多彩な表情が一つひとつの器に表れていて、人間味があるんですね。みんな個性があって、シックで、大量生産された工業品とは明らかに違う。
手作りの器がもつ個性は、コーヒーの飲み心地にもかかわってくるのです。同じコーヒーでも、器によって感じる味わいが違います。「贅沢な味」ってこういうことなんだと、しみじみ感じましたね。
「おいしく飲む」という行為には、人間の感覚的なものが大きく影響していて、器と中身の相性ってあると思うんです。どんな器でもコーヒーを飲むことはできますが、「美しい味」と書いて「おいしい」と読むように、美しいとは、目で見て感じること。ビジュアル的にまず目で見て、それから舌で味わう。この2つの相性がぴったり合ってこそ、初めて美味しいといえるのではないでしょうか。
その捉え方は、AGFさんが被災地で開催した親子での絵付け体験イベントでも生かされたと感じます。器と中身のように親と子がひとつとなって、新しい価値を創り、前向きなエネルギーを生み出す。それがひとつの復興の形だと思わされました。
絵付け体験では、子どもたちの想像力に感心しましたね。子どもって感覚的で、誰もが芸術家。親子で協力しあったり、また競争したりしながら、とても面白い作品を作りあげるのをそばで見ていて、ああ、親子っていいな、と改めて感じました。こういった体験が、子どもたちの将来にも影響し、大きな力になっていくのではないでしょうか。
東北3県と大分・熊本で開催しましたが、大切な日本の伝統文化である陶芸を、子どものうちから実際に目で見て、触れられる貴重なチャンスですから、今後はもっと広い地域の方々にも体験していただけるといいですね。
この3月は、コロナウイルスの拡大でイベントも中止になってしまいましたが、だからといって復興応援が止まるということはありません。一番大切なのは、「ずっと続けていく」ということ。窯元さんたちには、このプロジェクトをきっかけに、どんどん世界に羽ばたいてほしい。
例えば、国内はもとより、海外の方も手に取れるような仕組みを作るとか、流通面でも販売でも、協力していけたら素敵じゃないですか。伝統芸術の世界では、後継ぎ問題をはじめ、抱えている課題もあるかと思いますが、なくしたくない素晴らしい文化を世界に知らしめることが、窯元さんたちにとっても誇りとなり、やりがいにつながるでしょう。そういった応援活動も、AGFさんが主導されることで、実現に近づけるのではと思っています。
私が好きなのは、小さめのカップに濃い目に淹れた、こっくりとしたコーヒー。まずは器と香りを楽しんで、それから味わうのです。目覚めに飲む一杯、忙しい仕事の合間に飲む一杯、そして、食事の後にゆったりとリラックスして飲む一杯。
コーヒーって、癒されるのはもちろんですが、けじめをつけたり、気持ちの切り替えをしたいときにも役立ちますよね。延々と続く時間に、意味をもたせてくれるのがコーヒーブレイクだと思っています。
コーヒーブレイクって、魔法のような言葉だと思いませんか。「コーヒー飲んで休もうよ」と言っただけで、思わずみんなの顔がニッコリゆるむ。心がうれしがるんですよね。海外で仕事をするときにも、お気に入りのコーヒーをもっていくんです。どんな場所にいても、いつものコーヒーを飲むだけで、マイペースになれる。
あと、なんといっても香りもいいですよね。淹れているときにコーヒーの香りがふわっと部屋に広がるだけで、気持ちを豊かにしてくれる。贅沢な気分になれるんです。みなさんにもお気に入りの器やタイミングで、ぜひコーヒーブレイクを楽しんでほしいですね。
応援している東北の窯元さん
これまでに行った窯元さんへの
応援と活動の輪
活動実績
2012年 | 被害を受けた青森、宮城、福島の3県3窯元の窯の修復を応援 |
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2013年 | 宮城県内の1窯元に窯を寄贈 |
2014年 | 窯元さんの協力を得て、親子陶芸教室を開催、都内でギャラリーカフェ(作品展示会)を実施 |
2015年 | 「旅して応援!親子陶芸教室ツアー」や東北の窯元さんが作る器の販売を実施 |
2016年 | コシノジュンコさん・東北の窯元さんと共に、東北3県と熊本・大分で親子の器絵付け体験を実施 |
2017年 | コシノジュンコさん・東北の窯元さんと共に、AGF鈴鹿株式会社で親子の器絵付け体験&コーヒー工場見学を実施 |
2018年 | コシノジュンコさん・東北の窯元さんと共に、AGF関東株式会社で親子の器絵付け体験&コーヒー工場見学を実施 |