今回AGF〈ブレンディ〉が窯の修復支援を行うのは、宮城県亘理町旧末家地区(現亘理町先達前)付近の陶土を使った末家焼ひろ窯です。
震災により自宅、窯、作業場が崩壊。土、道具、上薬の研究データ、顧客名簿、作品の大多数を失ってしまいました。その後、末家焼に京都の専門学校より古いガス窯が支援されたことにより、もともと作っていた亘理町ではなく、アトリエのある岩沼市で創作を再開できました。しかし、小さい古い窯であること、寒冷地仕様の窯ではないことから作品の多くが割れてしまうなど課題を抱えています。
AGF〈ブレンディ〉は、修復支援援助、代替窯の贈呈などの支援を行うとともに、現地を訪れ修復の様子や東北の現状をレポートいたします。
2013年5月16日(木)、プロジェクト立ち上げ式が宮城県亘理町の末家焼ひろ窯にて行われました。
プロジェクトサポーターの、女優・歌手の原田 知世さんが現地を訪れ、末家焼ひろ窯の当主、加藤 文夫さん・加藤 ひろ子さんから被災した焼き窯の状況などについて説明を受けました。
原田さんはプロジェクトへの想いを語るとともに、2013年秋に開催予定のお茶会でオリジナルのお菓子をご提供いただく「kazunori ikeda individuel」のパティシエ池田 一紀氏らと共にプロジェクトの成功を決意し、末家焼ひろ窯の復興支援をサポートすることを宣言しました。
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<原田さん コメント> 今回、被災された家屋や焼き窯を実際に拝見して、本当に大変な思いをなさったのだということを改めて感じました。一日でも早く焼き窯が修復されて、その窯で思いっきり素敵な作品を 作られる日まで、私も応援させていただきます。そして池田さんが作る、ここ亘理の名産のいちごを使ったスイーツで、地元の皆様とお茶会でくつろぎのひとときを過ごせるのをとても楽しみにしています。この器の絆プロジェクトを通して、〈ブレンディ〉と共に、皆様にくつろぎのひとときをお届けしていきたいです。
<プロフィール> |
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<末家焼ひろ窯 当主 加藤 文夫さん コメント> パソコンも津波で流され、自分たちの被災状況を伝えられないこの状態で、このような支援をいただけることは奇跡のように思っています。九死に一生を得た気持ちで、これからの創作活動に励んでいきたいと思います。 |
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<末家焼ひろ窯 加藤 ひろ子さん コメント> 今でも悲しい記憶が蘇ってきますが、このような晴れの日を迎えられたことに感謝の気持ちがいっぱいです。この感動を胸に、今日を新たなスタートの日と思って、新しい作品作りに取り 組んでいきたいです。 |
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<池田さん コメント> ここ亘理は、スイーツづくりによく使われている仙台いちごの産地として有名です。今回創作するスイーツにも、亘理のいちごを使いたいと考えています。ブレンディのコーヒーの味わいに、ぴったりなスイーツにしたいと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。
<プロフィール> |
震災の津波で被災した宮城県亘理町の窯元に、本プロジェクトで寄贈したガス窯1基が設置され、2013年8月6日に待望の火入れ式がとり行われました。
火入れ式では地元亘理神社の宮司による神事に続き、窯元の加藤文夫さんがガス窯に点火し、素焼きにするコーヒーカップや皿などが入った窯の中で炎が勢いよく燃え上がりました。
また、地元関係者の前で加藤文夫さんが「震災直後は明日が見えない状況が続き、廃業も考えたことがあったが、みなさんの協力で乗り越えることができた。」と感謝の辞を述べられました。
新しいガス窯は震災で壊れてしまった窯と同じ京都のもので、寒冷地でも本格的な創作ができる仕様のもの。今後の創作活動についても「再興した28年前の初心に戻り、この地で伝統工芸を追求していきたい」と決意を新たにされていました。
新しいガス窯で焼き上げた新作の披露を兼ねたお茶会が、2013年11月13日に仙台市若林区文化センターで行われました。
お茶会には、窯元の加藤文夫さん、ひろ子さん夫妻をはじめ、これまで釜の修復を支援してきた協力者の方々や一般市民ら30人が出席。手作りの新作カップでカフェオレを味わい、またパティシエの池田さんより仙台イチゴを用いたオリジナルスイーツが振る舞われくつろぎのひとときを過ごしました。
プロジェクトサポーターの原田さんからは「苦難を乗り越えて復活させた2人の熱い思いに感動しました。器からたくさんの思いと愛情を感じ、幸せな気持ちです。」と優しい笑顔で2年8カ月の苦労をねぎらうとともに、加藤文夫さんは「新窯のおかげで震災前と変わらない作品ができた。お茶会を次へのステップのきっかけとし、一歩ずつ前に進みたい」と新たな決意を力強く語られました。
今回のプロジェクトを通じて得た“絆”を大切に、これからも一杯のコーヒーとそれを楽しむ器を通して、おいしさとくつろぎを全国へお届けしてまいります。