- これからの展望をお話しいただけますか。
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私は地元の方々、とくにこの地の未来を担ってくれる子どもたちに、
亘理伊達家のお庭焼きである末家焼を知ってもらうことと、
震災でいったんは途切れたこの仕事に、
どうやって戻れたかという経緯を伝えていきたいですね。
そういった活動と並行して、
ひとりの陶芸家として若い頃から追い求めてきた夢も形にしていきたいです。
「きれい侘び」といって、
自分の中にあるきれいと感じる作品を作っていきたいです。
日本人としてのわびさびを感じるような。
時間が経過することによって形を変え、奥行き、
深みのあるものに変わっていくさまを追究するという、
末家焼の土を活かした創作活動です。
今年はアトリエにも電気窯も入りましたので、
それを使った新しい分野での陶芸を続行できるという期待感があります。 - 海外の方に向けた活動もなさっているとお聞きしました。
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いま日本は観光立国を目指していて、外国人観光客が増えています。
でも、東京や大阪に比べて、東北はまだまだ少ない。
その中で、いかに東北に来ていただくかと考えた時に、
防災をベースに陶芸体験を組み合わせたらどうだろうかと。
実際に被災地を見ていただいて、
そこで感じたことをその後に行う陶芸教室で
表現していただこうという試みです。
東北は被災地ですが、間違いなく復興を遂げていますし、
自然、食べ物、お酒など見どころもたくさんあります。
そこに工芸を加味していただいて、自分の感じた東北、人々との出会いを、
グローバルに発信していきたいですね。海外の方に陶芸を作っていただくと、
お国柄っていうんでしょうか、作るものの形態や雰囲気が、
それぞれの国によって微妙に違うのが面白いですよ。アメリカ、カナダ、オーストラリア、中国、台湾、東南アジア…。
いろいろな国の方がいらしてくれています。今は根作りの最中ですね。
これからどう成長するのか、どのくらいの年数がかかるのかわかりませんが、
そこにせっせと水を与えているところです。