東日本大震災で被災した東北地方を、“器”を通じて応援し続けて今年で5年目。2016年4月に発生した熊本・大分での地震を受け、新たに「AGF〈ブレンディ〉器の絆プロジェクト」とプロジェクト名を変えて、東北3県に加え熊本・大分の被災地の復興応援活動も行っています。今年はデザイナー・コシノジュンコさんがデザインした器に、親子で絵付けをするワークショップ型イベントを開催。全国5か所の会場で催された、笑顔あふれるイベントの模様をお届けします。
みなさん、自分の生まれたところを大事にしてください。
今までもこれからもいろいろあるけれど、今日この場で、
一緒にモノをつくる時間はかけがえのないもの。
楽しく絵を描いて、世界でひとつの器をつくりましょう。
福島県の郷土玩具「起き上がり小法師」を器に描いた親子。「色々考えたけど、描きやすそうだったから選んだ」と照れながらお子さんが教えてくれました。お母さんは「完成された器に絵を描くのはもったいなくて…」と控えめに絵付けしたそう。
“会津魂”と力強く器に書いた親子は、生粋の会津っ子! 「学校とかで会津人としての基礎となる什の掟というのを習うんです。器にも会津らしさを加えるために書きました。」と福島らしい器に大満足。「今度はろくろ体験をやってみたい!」。
器の持ち手をサメの鼻に見立てて描いた男の子。「子どもの発想って面白いですよね」とお母さんも驚いていました。「高学年の息子とこうして有意義な時間を過ごせたのは本当に貴重でした」と親子同士のかけがえのない時間を存分に楽しんでもらえました。
「親子2人でひとつの作品になっていて素敵」と窯元の砂庭さんが頬を緩めていたのはこちら。持ち手にお子さんのニックネームをあしらいました。自分たちだけの、世界にひと組だけのペアカップでいただいたカフェオレは、きっと忘れられないおいしさ。
絵を描くのが好きという息子さんとママ。「鳥の図鑑を見て、メグロの下絵を描いたんだけど、器に描くときにはオオワシも描いちゃった」。家族で食事をするときや、おやつにココアを飲むときに、大切に使っていきたいそうです。
大胆な筆使い、色の重なりを親子で楽しんでいた2人。学生時代に美術部に在籍していたというママは「久しぶりに描けてうれしい」。息子さんは当初消防車を描くつもりだったけれど、コシノさんのアドバイスで、思いのままに筆を走らせたのだとか。「アヴァンギャルドね!」とコシノさん。
小学校のサッカー部仲間の男の子たちも終始賑やかに絵を描いていました。「楽しい体験ができて、校長先生にありがとうと言いたいです」とちょっと大人な回答。子どもらしい大胆な色が使われた器が完成しました。
アーティスティックな器を完成させた女の子と男の子のママ。「コシノさんがかっこよかったです! 一緒に写真を撮らせてもらった時もクールでした」と話してくれました。「今日飲んだ黒糖ジンジャー・オレもすごく美味しかった。お店で見つけたら絶対に買います」と、黒糖ジンジャー・オレの味にも大満足の様子。
大分の伝統的な焼き物「小鹿田焼(おんたやき)」のお店を営む親子が参加していました。「陶器のカップには馴染みがあったんですけど、絵を付けるのははじめて!」と、新鮮な体験に笑顔がこぼれていました。
大分が誇る名山、由布岳を描いたパパ。水墨画のような独特なタッチが個性的です。「コシノさんの作品も参考にしながら描きました」と、照れながら答えてくれました。絵を描くのが好きという娘さんも器を持って満面の笑み。
「コシノさんに子どもの絵をほめて頂き感動しました!」と嬉しそうに話してくれたママは、親子でお揃いの海の生物を描いていました。器の出来上がりにもとても感激したようで、「友だちに自慢しちゃいます!」とにっこり。
窯元さん2人が「あの技法、どこで知ったんだろう」「素晴らしい発想!」と驚いていた、筆に含んだ絵の具を息で吹き付けていた男の子。「大好きなマンガ雑誌に載っていたテクニックを見て、一度やってみたかった」と大満足。
持参したモミジの押し花をカップに写したママは、「じつは今日は娘の誕生日なんです」と教えてくれました。娘さんも隣で満面の笑み。親子で一緒に考えながら作業した絵付け体験を「一生のいい想い出になるかなって思います」。
紙へのいろいろな試し描きに時間を費やしていた父娘のカップは、2人のモチーフがリンク。「娘が果物を描いたので、私はその果物がなる樹を描くことにしました」。家族のコーヒータイムに欠かせないカップになりそうです。