- 2012年に始まった「器の絆プロジェクト」ですが、
6年間を振り返ってみていかがですか。 -
登り窯がここまで復興できるなんて思ってもいませんでしたね。
夢みたいな話が実現したうえに、
その後は窯を使って配布用のコーヒーカップを受注いただきました。
さらには、陶芸教室だったり、
AGF®さんと互いにアイデアを出し合って焼き上げたカップに、
参加者の方から絵付けをしていただくイベントだったりと、
さまざまな活動に参加できて、とても貴重な体験をさせてもらえました。 - とくに印象深かったイベントはなんでしょう?
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一番印象に残っているのが、熊本地震の後に行われた絵付け体験です。
- 熊本と大分で開催されたイベントですね。
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そうです。特に熊本では、私よりも、
もっと震災の被害を目の当たりにした方もたくさん参加されていたんですが、
まだ仮設住宅だとか小学校の敷地の一部に住まわれている方も多くて。
そういった方々の心の内に秘めた想いというのが、絵付けの中に表れていました。 - 絵付けにですか?
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一文字「絆」と書かれる方もいれば、「仮設」と書かれる方もいました。
見ていると、本当にこう、苦しい思いをしてきたんだなってことが
ひしひしと伝わってきまして。
なんとか復興してもらいたいと、心の底から応援する気持ちになりましたね。 -
実際に焼き物に描くことで、
被災された方々の気持ちも癒されていくものなのでしょうか。 -
器に何かしらの絵を描いたり、文字を入れたりという作業が、
心の修復につながるんじゃないかなと感じましたね。
あとは、色使いですね。見ていると、大人の方はシックな色調が多くて、
まだ心の傷が深いのかなって印象がありましたが、
子どもさんたちは、無邪気というか、カラフルに仕上げてくれて!
大人になった時に、
この経験を活かしてくれるんじゃないかという希望も見えましたね。
イベントの最後に笑顔が見られたことが、何よりの宝です。 - みなさん、親子で仲良く描かれたんですね。
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親子同士でなんだかんだと相談しながら作業されてましたね。
親子で、2人で1つの作品もあれば、思い思いの絵柄のものもあるんですけど、
やはり色使いが似ているんですよね。
そういうところに、親子の絆がにじみ出るんだなと感じました。 - プロジェクトに参加されてきて、
ご自身の変化を感じることはありますか? -
やはり、人との絆、関係性が深まったことが大きいですね。
窯の修復を通じて地元の陶芸家同士の親交がいっそう深まりましたし、
AGF®さんの応援を受けられた3つの窯元さんと知り合うこともできました。
その中で、相手の方のモノづくりのスタンスや立ち居振る舞いといったものを
見ることができ、自分に置き換えてみて、
もっとよくしていこうという想いを強くできました。 - 南部名久井焼のファンも増えたのでは?
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はい、それも大きな変化ですね!